【交差点】中国と香港


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 言うまでもなく香港は中国の一部である。その一方で厳格な一国二制度を導入しわずか40分の中国本土にもパスポートが必要だ。香港に住んで2年になるが中国にいる感覚はほとんどなく生活水準も先進国日本と大差なく外国人も多い。中国本土に住む苦労話はピンとこないことばかり。しかし、今年になって香港もやはり中国だと思い直す出来事が2つあった。四川大地震と北京オリンピックである。

 多数の犠牲者を出した四川大地震に多くの香港人が涙を流し記録破りの義援金を送った。新聞の題字も黒地や黒枠で喪に服した。また中国人の100年の夢といわれたオリンピック。諸外国の聖火リレーへの妨害に水を差され怒りをあらわにする者もいて歓迎ムードが続いた。オリンピックが始まり、中国選手の活躍ぶりは連日報じられ喜びを共有する。北京オリンピックは「ひとつの夢、ひとつの世界」をキーワードにしている。今年、中国本土における悲劇と平和の祭典は香港人の意識を大きく変えたのではないか。
 経済的依存を考えれば香港の繁栄は中国抜きには維持することも難しい。中国も香港の経験にならい主要国としてさらに発展してほしいと願う。
 幸い香港からの観光客は順調で直行便も毎日運航している。この機会に一度香港という窓から中国をのぞいてみませんか。
(宮城石(つよし)・県産業振興公社香港事務所長)