3姉妹、涙の再会 方言がつなぎ留めた絆


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53年ぶりの再会を喜び合う大城文子さん(左から2人目)ら3姉妹=22日(日本時間23日)、サンパウロ市のホテルロビー

 【サンパウロ22日移民100周年取材班】幼いころから家庭の事情で離れ離れに暮らしていた大城文子さん(58)=サンパウロ市=と、大城喜美子さん(62)=那覇市、山城千津子さん(56)=北中城村=の姉妹が、移民100周年を機に南米の地で53年ぶりに再会した。長い距離と時間を超えて再会を果たした3人は「元気で暮らしていたね」と言葉を交わし、目に涙を浮かべて何度も抱き合い、感激をかみしめた。

 文子さんは、家が貧しかったために、親類のおじの元に預けられ、5歳の時におじの家族と共にブラジルに渡った。
 ポルトガル語が公用語のブラジル暮らしが長く、文子さんは日本語がほとんど話せない。一方、喜美子さんと千津子さんはポルトガル語が話せない。3人を国際電話で結び付けたのはウチナーグチだった。
 普段から近況を電話でやりとりしていたが、ブラジル行きが決まってからは、12時間の時差を超え、ほとんど毎日のように電話を交わし、互いの家族が元気で暮らしているか確認し合った3人。写真でしか顔を見たことがない文子さんとの再会に「あんたに会うために来たよ。会えて良かった」と声を掛けた喜美子さん。文子さんも込み上げる涙をこらえながら「一度は会える日が来ると信じていた。言葉にならないぐらいうれしい」とウチナーグチで話した。
 文子さんに会うためにブラジルを訪れた喜美子さんと千津子さんのため、文子さんは夫の大城ヒロマサさん(58)と共に車で4時間かけてホテルまで来たという。
 2人は文子さんの自宅に2日間滞在し、共にブラジルを見て回るという。