【島人の目】白アスパラの旬楽しむ


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 沖縄の季節の野菜といえばゴーヤーとヘチマであるが、ドイツの代表的季節の野菜といえば何といっても白アスパラである。ドイツ産白アスパラは5月上旬に出始めて6月末には姿を消してしまう。最近では、外国産のアスパラもその時季以外にも出回るようになったが、ほとんどの人が買おうとはしない。
 アスパラは旬の5―6月のみに食べるものと決まってるかのように、この時季に食べ貯めをするドイツ人は非常に多い。この時季に招待されると決まってアスパラが出てくることに初めは驚かされた。それもゆでたジャガイモ(ドイツの主食)に高級ハムとアスパラ、それに白ソースをかけるという実にシンプルな食べ方である。お皿の半分をゆでた白アスパラが陣取っているのであるから、その量に日本人はまずびっくりする。まさに、肉や魚のかわりに白アスパラを食べる感覚である。
 昨夏訪ねてきた那覇高校同期の有志たちも、このアスパラ料理が出てきたときには驚きとも笑いともつかぬ喚声を上げていた。しかし、このアスパラは病み付きになりやすい。現に、日本からアスパラの時季に合わせて旅行を組む人も少なくない。そして、食べ貯めをするドイツ人をあきれて見ていたこの私も、14年前に白アスパラの産地ゲルダーンに引っ越して以来、すっかりアスパラファンになってしまった。
 その時季が待ち遠しく、毎週土曜日になると自然と車が農家に向かってしまう始末である。その日の朝に収穫した新鮮な白アスパラをバルコニーに座って1本1本皮をむく。その飛び散る新鮮な甘酸っぱい汁と太陽を浴びながら夏の到来を喜び、食する白アスパラの味は格別である。
(キシュカート外間久美子、ドイツ通信員)