【島人の目】沖縄出身です


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 日本人同士で話していて私が「沖縄出身」だと言うと、10人中9人までが「ウッソォー」と黄色い声でハーモニカを吹くような手つきになって「おきなわ、大好きなのー」とか「1回行って、はまったのー」と興奮気味に言う。
 9年前に、旅先のノルウェーのホテルで、朝食のテーブルが一緒だった北海道からの若い女性は、「石垣島は、これまで旅した中でベストスリーに入ります」と言っていた。看護師の彼女は、八重山のどこかの島の診療所で働くのが「夢なんです」とも言っていた。「Dr.コトー」の何年も前である。「へえー、そんなに好きなんだー」というのが私の感想であった。
 他人が「沖縄好き」と騒げば騒ぐほど、クールになる私であるが、しかし、旅先や、パリの街角で、懐かしいイントネーションが聞こえてくると、思わず声をかけてしまうのだ(県人会の集まりで、たくさんの県出身者に会うのとはちょっと違う)。
 以前、スウェーデンのある店で、その肌の色、目、まゆの濃さから、「絶対、沖縄の子に違いない」と思われる人を見た。しかし、一応用心深く、その子の近くに行き、連れの人との会話をそばで聞く。間違いなかった。
「沖縄の方?」「はい、えーお宅もですかー? うそー、こんなところで会うなんて」。ほんと、こんな北欧のムーミンショップで会うなんてであった。
(又吉喜美枝、フランス通信員)