【島人の目】ディズニー


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 東京ディズニーランドに行ったことがある。20年前のちょうど今ごろだ。夕方、ディズニーキャラクターのパレードがあり、その待合所を通ったとき、出番を待っていた(不思議の国の)アリス(役の人)が、いすに座って一服していた。
 さて、今、パリのグラン・パレ美術館で「ディズニー展」が開かれている(07年1月15日まで)。その展覧会を見ると、あらためて、アメリカ文化の基礎はヨーロッパにあり、と感じる。
 ディズニーの作品はほとんどが19世紀までのヨーロッパのお話が基になっている。それを20世紀のアメリカでいかにも20世紀的な映像とコンピューター技術を駆使し、世界中の人々が見ることのできる芸術作品に昇華していった。
 モデルとなった絵画、本の挿絵、また、30年代の映画のシーンなどが展示されている。
 いくつかのディズニー映画の「さわり」も見られる。なかでも「ダンボ」がすごい。象のダンス、その大きな耳がふれあい、重なって、鋭く美しい模様を作る。最近のものかと思ったら、なんと、1942年の作である。
 39年制作の「風と共に去りぬ」を戦後見た人が「こんな映画を作る国と戦争して勝てるわけない」ともらした感想を、「ダンボ」の一部分を見て、私も持った。
(又吉喜美枝、フランス通信員)