【島人の目】ウチナーンチュ大会


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 それぞれの思いを残して第4回世界のウチナーンチュ大会は幕を閉じた。私にも脳裏に刻まれたものがあった。
 当初の計画より2日繰り上げて10月8日に沖縄入りした。沖縄ブランドの製造現場を見学したかったからだ。黒糖、化粧品、泡盛、ハーブ農園、琉球ガラス、琉球陶器、ミンサー織などの工場だった。すべてが素晴らしいものばかりだったが、特に私の目を引き付けたのが基礎化粧品の製造会社だった。

 同社製品の化粧水は月桃のエキスと久米島の海洋深層水を原料とするそうだが、製品工程システムの厳格さには思わずため息が漏れた。新しい機械設備、無菌装置など衛生管理が徹底していた。そこで働く女性社員の洗練された美しさ、きっと自社製品を使用しているに違いない、と一人で納得した。
 しかし、今大会を通して感じたことだが、沖縄ブランドをPRするためには、本土のメディアをもっと招待する必要があるのではと思った。私の調べた範囲内だが、本土ではウチナーンチュ大会の報道はほとんどなされておらず、NHKが多少取り上げていたにすぎなかった。
 また、今大会で初めて導入されたイベントとして「一校一国運動」があった。希望する学校を選択、外国生活を生徒に伝達するようになっていた。私は母校の上本部中学校へ赴いた。全校生は百十六人、あらかじめ用意されたアンケートを見て感動した。質問は「将来どんな人間になりたいか」の項目で「周りの人から信頼されて、途中であきらめず、最後までやりつくす」「人の気持ちを分かってあげられる人になりたい」との回答が多かったのである。
 素晴らしい考えだ。お互いを理解し励まし合い、いじめなどはそこにはあり得ないはずだと私は思った。今大会のコンセプト「次世代への継承」の一環として「一校一国運動」は良い成果をもたらしたと確信した。
(当銘貞夫、米国通信員)