琉球大学と、県内で地域イントラネットを展開するオキット(那覇市、北村嘉規社長)は、インターネット上の災害対応や通信コスト低減を目的に、県内にネット通信の相互接続点(インターネット・エクスチェンジ=IX)を2013年2月にも開設する。
オキットの既存回線を活用し、琉大が10年以上研究を進めてきたIX関連の技術を利用する。ネットの高速化のほか、県外企業が県内に参入する際の障壁の一つともされてきた通信コストの低減に寄与することが期待される。
年末にも、インターネット事業者などを対象に新事業説明会を開く予定。
ネット環境は首都圏集中型とされ、遠方の沖縄にとっては回線障害や通信遅延のリスクがあるほか、割高な通信コストも課題となっていた。東京で大型災害があると沖縄のネット環境も影響を受ける事態も想定される。
沖縄側で通信のIXを設置することができれば、災害などのリスク回避に有効だという。東京を経由したデータのやりとりでも、IX上のキャッシュ(一時ファイル)を活用することでコスト低減や高速化にもつながる。
沖縄IX(OIX)は、もともと琉大が中心となって1999年から共同実験を始め検証作業を重ねてきた。ただ実験ではIXの接続地点が限定的だったことなどから通信コストの低減が課題として残っていた。
今回は琉大の旧OIXをいったん終了し、ビジネス事業として産学連携の形で新サービスを始める。琉大は人材育成面も担う。
IXを研究してきた琉大工学部情報工学科の長田智和助教は「旧OIXの課題はコストだった。これが下がることで県外企業にも利用しやすくなる」と話した。
オキットの北村社長は「IXとは乗換駅のイメージ。これまでわが社の顧客向けの会員制バスだったのを広く開放しようということだ。多くの利用者に乗り合ってもらえばコストも下がる」と説明した。