夏の果実 冬にも 農業大学校が電照栽培


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電照栽培によるドラゴンフルーツの育成法などを説明する(左から)鈴木さとさん、宮城直人さん、大底健太郎さん=4日、名護市大北の県立農業大学校

 【名護】県立農業大学校(松田昇校長)の学生3人がドラゴンフルーツの電照栽培に成功した。電照栽培によって夏の果物であるドラゴンフルーツを冬場に出荷でき、年間を通して供給量と価格の安定化に貢献できる。

 同校で4日、成果発表会があった。同校によると、ドラゴンフルーツの電照栽培は本島北部などで行われているが、冬から春にかけての生産量はわずかという。農業大学校はコストなどを検証し、生産者に技術を還元する。
 実習で電照栽培を担当したのは果樹コースの宮城直人さん(58)=短期コース1年、大底健太郎さん(18)=本科1年、鈴木さとさん(19)=同。宮城さんらによると、ビニールハウス内で自然光と電照で1日17時間照らし、冬でも開花が可能になった。効果を高めるため夏に収穫するつぼみは摘み取り、冬に備えた。
 ドラゴンフルーツは量の少ない春はキロ当たり単価が最高約3500円になるが、収穫がピークの7~8月は千円前後となる。電照栽培で冬の収穫が12月下旬から1月中旬、その次の花はピーク前の6~7月になる。収量は自然栽培とほぼ差はないという。
 宮城さんは「正月など冬もドラゴンフルーツを楽しんでもらいたい」と話した。松田校長は「観光客のニーズはあっても冬は果物がない。技術が広がれば農家所得の安定にもつながる」と評価した。