県が1996年度から16年間にわたって実施してきたベンチャー企業への投資事業で、27社中4社が倒産、4社が合併・買収(M&A)、1社が民事再生による再建中となり、投資金も全額は回収できていないことが分かった。
上場した企業は1社だけでこの社も2008年に倒産している。初期の投資先には存続していても「経営不振」など経営的に厳しい社が並ぶ。公費の投資だけに事業成果を検証する必要性を指摘する声が上がっている。
1996年度から始めた「創造的中小企業創出支援事業」は6年間で10社に投資したが、11月時点で3社が倒産し、3社がM&A、1社が民事再生。6億2900万円を投資したが、株式売却などの回収額は3億9700万円にとどまる。大阪証券取引所のヘラクレス市場に03年に唯一、上場した「サイバーファーム」(投資額1億1千万円)も08年に倒産した。
01年度からの「ベンチャー企業投資事業」は5年間で投資企業10社中1社が倒産し1社がM&A。投資額6600万円に対し回収額は670万円。いずれも県産業振興公社に事業を委託した。
11日の県議会11月定例会一般質問で仲村未央氏(社民・護憲)が、公費の使途として事業成果を評価する仕組みをつくるべきだと指摘。仲村氏は「公費を投資した結果、どんな成果になったか県民に見えない。実際の上場に至っていないことをどう検証しているのか分からない」と述べた。
県は、ベンチャー支援で06年度以降はファンドを設立。3年間は「沖縄ベンチャー育成ファンド投資事業」として7社に2億8700万円を投資。09年度からは「おきなわ新産業創出投資事業」として、バイオ、情報技術(IT)、環境関連の企業を対象に支援している。これまで3社に1億7900万円投資した。まだ回収額はゼロ。
県の平良敏昭商工労働部長はベンチャー企業への投資のリスクに言及しつつ「県が初めて投資した企業はいろいろ問題点を抱えていた。ベンチャーキャピタルをかませて目利きをきちんとするなど、反省に立ってファンドを立ち上げた」と強調した。