11年度農産物 鳥獣被害1億9000万円


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県内農産物鳥獣被害額の推移

 県内農産物の2011年度鳥獣被害額が1億9千万円に上ることが12日、分かった。前年に比べ15・8%減少したものの、近年は2億円前後で推移している。

特に被害額の半数を占めるカラスについては、県も「被害軽減に至っていない」と捉えており、今後、カラスの生息数や密度調査などを実施し、効率的な対策を進めていく方針だ。
 県内の鳥獣被害はカラスの他にイノシシやシロガシラなどによるものが多い。カラスはかんきつ類やパイナップルなどの果樹類、シロガシラは葉野菜、イノシシはイモやサトウキビ、果樹類など多くの種に被害を与えている。
 被害額は06年に2億7400万円に上ったが、08年には1億9900万円と2億円を下回った。しかしその後は2億円前後が続き、被害対策事業の大きな効果は得られていない。
 県は国の「鳥獣被害防止総合対策事業」を活用して鳥獣の捕獲、侵入防止施設の設置などを進めてきた。しかし、市町村ごとで実施していたため、行政管轄の境界地域などでの対策が進まず、効果的な被害軽減にはつながらなかった。
 それらを踏まえ県は本年度、県の緊急雇用事業を活用して鳥獣被害対策指導員を北部地区に配置。現場の状況把握や関係者との調整を行い、広域の防除体制を強化している。
 13年度は県の予算で北部地域のカラスの生息数や密度、生態などの調査事業を実施、適正生息数と照らし合わせより効率的な対策事業を展開していく計画だ。
 県営農支援課の担当者は「今、県が(地域を)まとめて、対策していこうと動いている。今後は現場の被害軽減策と調査事業の二つを実施する」と述べた。
 知念武農林水産部長が同日の県議会11月定例会一般質問で、11年度の鳥獣被害額を明らかにした。具志堅透氏(自民)への答弁。知念部長は「市町村単位で捕獲を実施しているが、生息数に応じた適正な捕獲数が不明なことなどから、被害軽減には至っていない」とし「今後も市町村、JAなどと連携し被害軽減に努めたい」と述べた。