県水産海洋研究センター(糸満市、勝俣亜生所長)は、県内沿岸域の海洋生物や環境情報を一元化した「総合的利活用推進GISデータベース」を2012年度内に作成する。
県の「沖縄沿岸域の総合的な利活用推進事業」の一環。作成後も地理情報システム(GIS)内のデータを蓄積し、魚類やサンゴ礁など水産資源の適切な管理体制の構築につなげる。
県内沿岸域にはかつて、ハマフエフキ(方言名タマン)やナンヨウブダイ(同イラブチャー)、キビレハタ(同ミーバイ)などの魚類が多く生息していたが、同センターによると、過度な漁獲やサンゴ礁など沿岸環境の悪化により、県内の沿岸魚類生産量は25年間で5分の1にまで減少した。
GISデータベースには、海域ごとの藻場、干潟面積、サンゴ礁の分布、赤土流出状況などを一括して掲載。現在、同センターが進める八重山、本島北部、金武湾、中城湾の4海域における水産資源管理策の策定などに活用する。
同事業ではデータベース作成のほか、漁業者協議会の設立や管理体制の構築、琉球大学や水産業改良普及センター、水産総合研究センターなどによる海洋生物の生物調査も実施。資源管理のための情報収集・整理と体制構築を図り、水産資源の持続的利用、漁業者の経営安定につなげたい考えだ。
県水産海洋研究センターは「沿岸環境の悪化は、県の観光業や文化発展のための海の価値を損なう」と指摘。「これまで散在していた情報をまとめて、使いやすくする。GISデータベースを活用して海洋調査を円滑化し、水産資源の管理につなげたい」と説明した。(長嶺真輝)