自民、公明両党が政権奪還を果たした衆院選を受け、県内経済界からは、仲井真県政との親和性から産業政策の実現に期待する声が上がった。
那覇空港の滑走路増設に向け、2013年度からの事業予算化を求める声が複数上がった。経済振興については「政治の安定」を求める声が強かった。国際物流特区形成へ向け、港湾の国際物流センター整備や貨物増大支援事業の実現、一括交付金を含む沖縄関係予算の確保を求める声も上がった。
県経営者協会の安里昌利会長は「国際競争力のある物流拠点を何としてもつくりたい」と国際物流拠点形成に支援を求めた。消費税増税には「苦戦する低所得者のケアをしっかりしてほしい」と注文した。
県建設業協会の下地米蔵会長は、米軍普天間飛行場など「積み残した問題は多い」と跡地利用で政府に提言していく考えを示した。那覇空港の第2滑走路増設や鉄軌道導入による公共交通のインフラ整備を要望した。
県商工会連合会の照屋義実会長は「県と国ではねじれが解消したが、沖縄と自民党本部には依然存在する」と述べ、日米地位協定の改定へ踏み込んだ議論を求めた。来年3月に期限が切れる中小企業金融円滑化法(返済猶予法)に代わる支援策の策定を期待。13年度予算への那覇空港第2滑走路増設事業の確保も要望した。
県工業連合会の湧川昌秀会長は「仲井真県政の産業政策も通りやすくなるのではと期待している」と述べ、沖縄関係予算の確保を要望。基地返還をにらんだ跡地利用の検討も求めた。
沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の安里繁信会長は那覇空港の滑走路増設要求を掲げ「ぜひ13年度から進めてもらいたい」と玄関口の整備が急務だと訴えた。
県中小企業団体中央会の津波古勝三会長は「自民党もこれまで通りだったらノーを突き付ける」と実行性ある政治を求めた。その上で当選議員には「足元の基地問題を忘れずに国政に取り組んでほしい」と要望、経済発展に向け、基地の跡地利用の促進を強く求めた。
JA沖縄中央会の小那覇安優会長は「民主党政権下ではサトウキビ価格の決定要因が不明確だった。自民党政権下では官僚や副大臣にも要請できる」と政権交代を歓迎。経済発展に向けて、閣僚交代が少なく主張がぶれない「政治の安定」を求めた。環太平洋連携協定(TPP)には反対の姿勢を強調した。