県やアグー生産農家らで構成する県アグーブランド豚推進協議会(会長・波平克也県畜産課長)は25日、2012年度の初会合を県庁で開き、「琉球在来豚アグー証明規定」にアグー豚凍結精液の県外流出を禁止する事項を追加することを決めた。
以前から禁止されていた生体と併せ、県外へのブランド流出防止を強化する。
凍結技術は近年技術が確立したばかりで、同協議会は13年度以降の普及を見据えている。
凍結技術については、12年度の国の「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」を県が受託し、研究を進めてきた。アグー豚精液の濃厚部を使用し、当初30%ほどだった精液の凍結・融解後の運動率を90%にまで改善した。
牛は凍結技術の確立が早く、県内の99%が凍結精液による受精なのに対し、豚は精液の密度が薄く、保存が困難だった。凍結技術の確立により効率的な生産計画の策定や病原菌のまん延防止が強化されるほか、雄の精子が減る夏場でも種付け数の減少を抑える効果が期待できる。
県は13年度から、人工授精によるアグー豚の効率的生産技術を確立させる3年間の事業を開始する。凍結精液の生産現場での活用や、受胎率向上などのための受精用カテーテル作製などを検討する。
会合では精液のほか、現在研究段階である受精卵や生細胞についても、今後の凍結技術の確立を見据え、流出禁止事項に追加した。
同協議会は、アグーブランドの差別化や消費者の信頼確保などを目的に08年に設立。県内アグー豚生産農家の9割以上が所属しており、生産農家のほか協同組合や学識経験者、国、県の代表者ら13人が委員を務める。波平会長は「アグー豚もこれだけ知名度が高まっており、県外からの引き合いも増えてくる。出荷数も増える。ブランドを安定させることが、販売の出口を拡大させる前提になる」と説明した。(長嶺真輝)