バレーボールの第65回全日本高校選手権(春高バレー)が5日、埼玉県のさいたまスーパーアリーナで開幕し、県代表の男子西原は2―0で松阪工(三重)に勝利し、初戦を突破した。女子西原は共栄学園(東京)に0―2で敗れ、2回戦進出は果たせなかった。
男子西原は立ち上がりから得意のコンビバレーで得点を重ねた。第2セット序盤は接戦となったが、與那覇力仁らのスパイクで突き放した。女子西原は第2セットに粘り強いバレーを見せたが、あと一歩及ばなかった。男子西原は6日午前9時半から東亜学園(東京)と対戦する。
▽男子1回戦
西原(沖縄)
2―0(25―20,25―20
松阪工(三重)
▽女子1回戦
共栄学園(東京)
2―0(25―12,25―19)
西原(沖縄)
◆男子西原 コンビバレーさく裂
男子西原の持ち味のコンビバレーが全国の舞台でさく裂した。セッター平安山華竜が自在なトスでボールを振り分け、具志堅薫や與那覇力仁らのスパイクが相手コートを突き刺す。初戦の硬さを感じさせない伸び伸びとしたプレーで勝利をつかんだ。
第1セットから好調だった西原は、時間差やクイックなど多彩な攻撃で得点。相手のミスも重なり、優位に試合を進めた。しかし第2セットに入ると相手のスパイクが決まりだし、互いに得点を奪い合う接戦となった。そこで力を発揮したのが與那覇と吉田有輝だった。
左右からスパイクを決めて試合の流れを引き寄せた與那覇は「緊張したけど、みんなで声を掛け合えていた」とチームプレーが勝利を呼び込んだことを強調する。力強いスパイクを何度も決めた吉田は「平安山とのコミュニケーションがうまくいった」と達成感をにじませる。
昨年は観客席で応援していたという與那覇は「とても楽しかったし、初戦に勝てて一安心した」と笑顔。それでも次戦に向けて「コンビバレーがまだまだなので、もっと早い段階から合わせるようにしたい」と気持ちを引き締める。
奥住竜馬監督は「初戦にしてはよくできていた」と選手らの活躍をたたえ、「勢いに乗って2回戦に臨みたい」と力を込めた。
(平安太一)
◆女子西原 諦めず最後まで粘り
女子西原は最後まで粘り強いバレーを見せた。共栄学園(東京)の鋭いスパイクをしぶとく拾い、山内美咲らのスパイクで得点する。勝利には手が届かなかったが、最後まで諦めずにボールを追い続けた。
相手は昨年、一昨年と春高バレーで対戦し、敗れている東京の代表校。「絶対に倒そうと思った」と湧川千明主将は振り返る。立ち上がりは相手の勢いに押されて連続で失点、流れを取り戻せないまま第1セットを落とした。
迎えた第2セット。「絶対に挽回しようと思った」(湧川主将)と気持ちを切り替えてコートに立った選手らは、勢いのあるスパイクやブロックで得点を重ね、一時はリードする場面もあった。「相手を崩して、粘って得点する自分たちのバレーができていた」と湧川主将は語るが、「あと一歩足りなかった」と涙を拭った。
力強いスパイクで得点を奪った山内は「沖縄から応援に来てくれたたくさんの人に、勝利で恩返しできなくて悔しい」と声を詰まらせた。試合を終え、「3年間の集大成として自分の持っている力を全て出し切った。自分自身も成長できたし、このチームにいて良かった」と話した。
春高での上位進出は、今後チームの主力になる1年生に引き継がれた。湧川主将は「また来年戻ってきて、東京代表を倒して上まで行ってほしい」と願いを託した。(平安太一)