東京商工リサーチ沖縄支店は7日、2012年の県内企業倒産状況(負債総額1千万円以上)を発表した。
発生件数は前年比13・4%減の71件、負債総額は38・2%減の107億4500万円だった。件数は過去2番目に少なく、負債は1億円未満の小口倒産が7割超を占めたことから、過去3番目の低水準となった。中小企業金融円滑化法が倒産を抑制したほか、堅調な個人消費なども影響した。
件数は1年7カ月連続で1桁台となり、前年同月を上回ったのは12月のみだった。金融円滑化法の1年延長で資金繰りが緩和されたほか、年初から景気が回復基調となった。公共工事や新設住宅着工戸数の増加で建設需要が拡大。業種別では建設業が31件と最も多かったが、前年比で7件減。建設業の倒産減が全体の件数を押し下げた。
同支店は「10年近く続く倒産の小康状態をみると、ある程度企業が淘汰(とうた)されてきた結果だと思う。事業拡大というほどの景気の良さではないが、事業を継続する収益は確保していると考える」と分析した。
倒産状況を従業員の規模別でみると、5人未満の零細企業が44件で全体の62・0%を占めた。前年と比べそれぞれ2件、10・8ポイント上回った。記録がある01年以降で最大の構成比となった。
地域別は那覇市が前年から12件減少したが、13件で最多。浦添市10件、沖縄市、名護市、うるま市、中頭郡の6件などが続いた。前年なかった糸満市が3件発生した一方、国頭郡は5件からゼロへ落ち着いた。
業種別では建設業が全体の43・7%と突出したが、前年に続き半数割れ。次いで卸売業12件、サービス業10件、小売業7件―など。
今後について同支店は「円滑化法の3月終了や消費税増税を控えていることは不安要素だが、現状の景況、建設需要の好影響などから4~6月ごろまでは倒産件数は低水準が続くだろう」と見通した。