“遊び心”で沸かす 琉舞保存会新春公演


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フィナーレで「加那ヨー」を舞う(左から)谷田嘉子、玉城秀子、玉城節子、金城美枝子=13日、浦添市の国立劇場おきなわ

 琉球舞踊保存会(玉城節子会長)の「資金造成 新春公演」が13日、国立劇場おきなわで行われた。

国指定重要無形文化財「琉球舞踊」保持者は「かぎやで風」「金細工」などで登場。保持者13人が交互に出演したフィナーレは遊び心たっぷりに沸かせた。伝承者らは各流会派の個性を発揮した創作や情感を込めて舞う古典、雑踊を披露した。
 幕開けは「かぎやで風」。踊り手13人、地謡16人を保持者が務め、華やかな雰囲気の中で始まった。
 伝承者らは、第1部で「四つ竹躍」(玉城流いずみ会)、「浜千鳥」(宮城本流鳳乃會)、「本嘉手久」(親泊本流親扇会)、「菊」(太圭流)、「木綿花」(玉城流扇寿会)、「浜下り」(島袋本流紫の会)を披露。第2部は「銭鳴りヒャー」(真踊流)、「瓦屋節」(大城流寿乃会)、「今帰仁道行」(玉城流扇寿会)、「東細踊り」(宗家眞境名本流眞薫会)、「繁昌節」(玉城流玉扇会)、「カリーパーランクー」(玉城流翔節会)を舞った。
 ゆったりと情感を込めて舞う演目や、大人数で舞台狭しとにぎやかに舞う演目などを次々に繰り広げた。群舞の中で、やや体のバランスを崩す例などもあったのは惜しまれた。
 「金細工」はアンマー役に志田房子、加那兄役に宮城能鳳、真牛役に玉城節子。加那兄に対し、遊女の真牛と遊んだ分の料金「揚げ代」の支払いをアンマーが迫る場面は印象的。アンマー役の志田が指を折って支払いを迫り、加那兄役の宮城が後ろへのけぞるユーモアたっぷりの掛け合いが会場を沸かせた。
 フィナーレは、保持者13人が短い時間ながら次々に登場し、メドレー方式で雑踊3題を踊りつないた。「取納奉行」を大城政子、眞境名直子、又吉靜枝、志田が一人踊り、喜納幸子・宮城幸子は二人踊りで舞った。志田は、指折り数えるしぐさや、退場する場面などで「金細工」のアンマー役も想起させるようなしぐさも見せ、笑いを誘った。
 「鳩間節」は佐藤太圭子、親泊久玄、宮城能鳳が一人ずつ登場してリズミカルに舞い、「加那ヨー」は玉城節子、玉城秀子、谷田嘉子、金城美枝子の玉城流の家元4人が息を合わせ、踊った。退場する際に玉城秀子、金城がわざとぶつかり、少し止まって怒ったような表情を見せるなど、遊び心を感じさせた。各踊り手の個性も感じられ、思わず笑いがこぼれる中で楽しく見終えることができた。(古堅一樹)