共同物流センター設置 県が実証実験開始、次年度本格化


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 県は県内製造業者の県外向け海上輸送や県外で在庫管理する物流センターの共同化に向けた試みを近く始める。県物産公社の物流網を土台に2カ月間、同公社など6社で実証実験をスタート。

継続事業として2013年度はさらに多くの企業と連携し、より実践的に取り組む計画。本格的な共同物流センターの設置による輸送費低減や発注から納品までのリードタイム短縮など、販路開拓に効果的な輸送体系の構築を目指す。
 県物産公社は那覇から大阪へコンテナを週4回海上輸送し、東京までは陸送や海上輸送するなどの輸送体系を確保。大阪と東京にそれぞれ賃貸で倉庫を所有、保存可能で受注が多い商品を中心に在庫管理している。
 一方で同公社などによると、県内の飲食品製造業は県外に在庫管理の物流センターを所有していない。リードタイムのほか、それぞれ必要に応じての輸送になるため、輸送コスト高が課題となっている。
 物流コストに関する持続可能な対応策の調査、検討を進めていた県は一括交付金を活用した「製造業振興物流対策事業」の一環として実証実験を手掛ける。6社の貨物を那覇や大阪、東京の一カ所の倉庫に集荷、共同管理し、標準的な事例として効果などをまとめた上で次年度につなげる。
 県は次年度、本格的な共同物流センターの設置を図り、リードタイム短縮や安定的な納品で各企業の販路開拓を後押しする狙い。実験に参加するオリオンビールも共同化の実現を期待する。
 一方で受注後の納品方法などは各企業それぞれで、参加企業が増えた場合、管理も複雑化するため共同管理の仕組みづくりに課題がある。県商工振興課は「次年度中で課題の解決を図り、海上輸送の支援も効果的に実施し、オール沖縄の取り組みを実現させたい」と事業の意義を語った。
(謝花史哲)