立方、地謡息合わせ 子の会が組踊「花売の縁」


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組踊「花売の縁」で森川の子(玉城、右)が離ればなれになっていた妻・乙樽(金城、左)、息子・鶴松(森山康人)と再会する場面=11日、浦添市の国立劇場おきなわ

 国立劇場おきなわの組踊研修修了生らでつくる「子(しー)の会」出演の県伝統芸能公演が11日、浦添市の同劇場で行われた。組踊研修の1、2期生の立方・地謡が息を合わせ、家族の絆を描く組踊「花売の縁」を上演した。

 首里士族・森川の子(玉城匠)は生活が苦しくなり、山仕事に出ようと山原へ。長く帰ってこない森川の子を捜し、妻の乙樽(金城真次)、息子の鶴松(森山康人)は旅に出る。
 妻子が道中、猿引(川満香多)に連れられた猿に出会う。猿役の森山和人は、首をかしげたり、背中をかいたりするかわいらしい動きで笑いを誘った。薪取役の岸本隼人は、働き者なのに、不運が続いた森川の子の境遇を切々と唱えた。
 家族3人は再会するが、森川の子は花売りへと落ちぶれたことを恥じ、小屋へ隠れる。乙樽役の金城は、森川の子を説得するせりふに情感を込めた。森川の子役の玉城は妻に説得されて小屋から出る際に袖を見て思いをはせるなど複雑な心境を演じた。鶴松役の森山康人は大きな声ではっきりとした唱えを披露した。
 地謡は歌三線に新垣俊道、仲村逸夫、玉城和樹、大城貴幸、喜納吏一、仲村渠達也、箏に池間北斗、笛に入嵩西諭、胡弓に森田夏子、太鼓に久志大樹。一部で歌声が裏返ってしまう場面もあったのは惜しまれたが、全体としては安定感のある演奏を披露した。解説は天願雄一が務めた。