ゴーヤーの突起丸く 新品種、傷抑え輸送に強く


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ゴーヤーの新品種研究に取り組む県農業研究センターの研究員=28日、糸満市の県農業研究センター

 県農業研究センター(糸満市、坂本守章所長)は、輸送に強いゴーヤーの新品種の研究を進めている。ゴーヤー特有の突起に丸みをつけることで、輸送や販売時の傷を最小限に抑える。県産ゴーヤーのブランド保護や安定供給につなげたい考えだ。2013年度にも展示ほ場を設置し、14年度に農家への普及を目指している。

 研究は県の事業で01年に着手。12年度には育成試験を完了し、13年度内に名称の公募を予定している。完成すれば、県としては08年の「夏盛」以来の新品種となる。
 近年、北関東や九州産など他県産が出そろう夏場はシェアを奪われ、キロ単価も300~400円ほどになる。県産ゴーヤーが高いシェアを占める冬春期は単価も500~600円で、時期によっては千~2千円の高値が付くこともある。
 しかし、同センターによると、冬春期のゴーヤーは特に突起が鋭くなり、垂れ下がった実とは反対に上向きに反り返るものもある。そうなると県外、量販店への輸送時や、消費者が商品を選別する際に黒ずんでしまう欠点があるという。突起を丸めて摩擦を抑えることで、商品価値の低下を防ぎたい考えだ。
 現在、県内で生産されるゴーヤーは夏場の生産に適した「群星(むるぶし)」「夏盛」、冬春期に栽培される「汐風(しおかぜ)」、春~秋にかけて露地栽培用の「島風」の4品種で全て中長形状だ。
 同センターでは、県の在来種であるアバシーゴーヤーのような短太の新品種も研究中。まだ雌花が少なく、生産性が低いのが課題だが、昔ながらのゴーヤーを求める農家や消費者も多いという。
 担当者は「冬春期は県産ゴーヤーの県外需要も大きく、沖縄ブランドを生かしやすい。県外にないものを生産して他県と差別化すれば、ブランドの保護にもなる」と説明した。
(長嶺真輝)