県の脱「引きこもり」支援 一般枠で半数就職、対人経験重ねる


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「おきなわ工芸」の代表・山城正嗣さんと、現在受け入れている訓練生と採用された男性(手前右)=30日、南城市玉城のおきなわワールド

 ニートや引きこもりなど若者の就職を支援する「若年無業者職業基礎訓練事業」が昨年10月から県内で始まっている。県の一括交付金を活用した事業で、県から事業を委託された「サポートステーション沖縄」(略称・サポステ、沖縄市)では、3カ月の基礎訓練を経て1月から、15人中7人が就職につながった。

サポステのキャリア教育コーチの上江田紫寿江さんは「中には10年以上引きこもりだった男性も就職が決まった」と話し、適切な生活支援と就労支援、本人の意欲があれば就職につながると強調している。
 今回採用が決まった訓練生らは、一般枠で採用されたのが特徴だ。20年以上、不登校や引きこもりの問題に取り組んでいる上江田さんは「当事者は社会に出る不安もある。アルバイトから始めて、ゆっくりと空白期間を埋めていき、将来の自立につながってほしい」と期待している。
 革製品のキーホルダーなど工芸品を製作する「うちなー工芸」(沖縄市)は、基礎訓練の実習を経た男性1人を採用した。代表の山城正嗣さんは「とても真面目で仕事熱心。きっかけと環境があれば、人は変われる。彼らを受け入れる企業が増えれば、沖縄の労働力にもプラスになると思う」と語った。山城さんの元で働く長年引きこもりだったという男性(30)は「物を作ることが好き。仕事は楽しい」と笑顔で語った。
 また別の男性(21)は、訓練を経て現在実習先だった中部の飲食店で働く。「お金をためて、車の免許を取得し、働きながら高校にいきたい」と夢を語った。
 訓練生らは3カ月の基礎訓練を受ける前に、サポステと連携している「サポートセンターゆめさき」で、初対面の人と会話するコミュニケーションスキルや、ボランティア、農作業などの課外活動など、数カ月かけてジョブトレーニングを重ねた。その効果も大きいと上江田さんは考えている。
 一方、今回就職に至らなかった訓練生も、引き続きビジネスマナーを学んだり資格取得を目指したり、就労体験を重ね、就職支援を継続している。
 サポートステーション沖縄は(電話)098(989)4224。(知花亜美)