国内に安値の海外産が増加し1980年代以降、県外出荷量が激減したカボチャに、主力産地として復活の兆しが見えてきた。JAおきなわ(砂川博紀理事長)の統計によると、2009年に約20年ぶりに県外出荷量千トンを突破。12年産も前年比23・7%増の1350トンを見込む。
安心・安全を求める国産需要の高まりや単価の上昇を背景に、県内各地で生産の機運が高まっている。
カボチャは本土復帰後の沖縄農業の主力品目であり、1980年のJA県外出荷量は8278トン。その後、海外産の輸入自由化で85年4642トン、90年1670トン、95年には562トンにまで落ち込み、その後は500~700トンで推移した。
増産のきっかけは、2000年代に入り中国産野菜などの安全性における信頼性低下による国産需要の高まり。それまで250~300円ほどだった県産カボチャ1キログラム当たりの単価は05年に358円、10年には428円にまで上昇した。
夏場は一大産地の北海道が国産シェアの大半を占めるが、冬春期の特に2~4月は国産のほぼ100%を県産が占める。時期によっては単価500~600円の高値が付くという。
県の統計によると、10年の県全体の収穫量は01年に比べて2・2倍の3861トン、収穫面積も2・1倍の334ヘクタールと大幅に増える。
県内では、拠点産地に認定されている南風原町、宮古島市、名護市が主な産地。県もこれら拠点産地に対し展示ほ場の設置などで支援している。しかし近年、JAが生産に力を入れ始めたこともあり、西表島や大東島でも増産。他の離島からも営農指導の希望が増えているという。
JA担当者は「離島は農地も広くカボチャの生産に適している。日持ちもするので、県外出荷の時に安値な船舶輸送船でも長時間耐えられる」と説明。「今後も離島を中心に生産を呼び掛け、3、4年後までに年間出荷量を2千トンにしたい」と力を込めた。
(長嶺真輝)