県内初3D映像制作 県外から技術移転、産業創出へ


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ビデオテックの技術移転を受け制作が進められる3D映像=8日、那覇市の専門学校ITカレッジ沖縄

 広告代理店のアドスタッフ博報堂(那覇市、山里正光社長)、琉球放送(同、白石弘幸社長)、番組制作のビデオワークス沖縄(同、下地均社長)の3社は、県内初となる3D(立体)映像を制作する事業を進めている。

2月中に琉球放送制作の県産コンテンツ2作品を3D映像化し、自主上映興行を図るなど新たなビジネスモデルの開発を目指す。
 事業化には映像制作会社のビデオテック(東京)が協力。米大手映画会社に採用された3D映像化技術の移転が実現し、3社連携の事業が始まった。ビデオテックが親会社JVCケンウッドと共同開発した2D3D変換機など3D特殊機材を貸し出し、技術の指導に当たる。
 3社はさらに専門学校ITカレッジ沖縄と連携。ITカレッジに機材を設置し、制作を進めるとともに人材育成を図る。
 3D映像化するのは、琉球放送の「オキナワノコワイハナシ」2作品。ビデオワークス沖縄が制作し、アドスタッフ博報堂が県内商業施設や公民館での上映興行の企画、運営を手掛ける。3月には娯楽産業見本市の香港フィルマートに出展する予定だ。将来的にはBSテレビ放送局への番組販売やDVD販売も見込んでいる。
 アドスタッフ博報堂などによると、3D市場は映画のほか、過去の作品を3Dに変換する事業など新しい産業も生まれ、2015年の市場規模は8兆2千億円と予測される。日本の企業の参入が始まっているが、制作会社は不足しているのが現状という。
 ビデオワークス沖縄は今後、事業参入を目指し、ITカレッジは人材育成を続けていく計画。ビデオテックも事業委託を見込んでおり、関係者は沖縄を3D映像の生産地にする構想を描く。
 8日、県庁で会見した3社の代表や担当者らは「日本、世界に県産コンテンツを発信したい」「産業の核となると期待している」と事業の意義を語った。