国内唯一の木管楽器製造メーカー「美ら音工房ヨーゼフ」(南城市、仲村幸夫社長)は、中国・北京市に拠点を設け、中国ユーザーへのサービス向上を図る。10日、現地で県や北京市政府関係者らを招いて開所式を開き、運営を始める。
北京代理店として、中国の顧客によりきめ細かいメンテナンスを行うほか、中国国内への販路拡大の拠点として位置付ける。県産業振興公社の「県産品拡大展開総合支援事業(工業製品)」を活用した。
拠点開設に仲村社長は「楽器を安心して使っていただく環境を整備したかった。沖縄発の楽器がより広がる活動につなげたい」と述べた。
北京市には現在、ヨーゼフ社のグループ的な工場があり、そこでの生産を含めクラリネットやオーボエを年間200本以上製造販売するという。「木管楽器市場でも中国のマーケットはどんどん拡大している。今後は国内での販売を上回るほどになる可能性もある」と期待している。
ヨーゼフ社はこれまで、中国ユーザーの楽器の修理については、技術者の出張や楽器を沖縄工場に送るなどしていた。ユーザーの増加に伴い、現地への拠点設置を判断した。現在、代理店で修理作業を担う予定の中国人スタッフが来県し、沖縄工場で技術習得に励んでいる。
支援する県産業振興公社は「県内には工業製品の製造施設がまだ少ないが、ヨーゼフ社の海外進出は他の業者にとっても大きな刺激となりそうだ。楽器製造は金型産業とも連動するもので、今後とも沖縄発のブランド推進を支援したい」としている。