劇団O.Z.E 72’ライダー再演


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 現代演劇の「劇団O.Z.E(オゼ)」第43回本公演「72’ライダー」(作・演出=真栄平仁)が9日午後7時と10日午後2時、那覇市のテンブスホールで行われる。

 沖縄が日本に復帰した翌年、国会議事堂正門へバイクで激突し死亡した青年をモチーフに創作し、昨年6月に初演された同作の再演。初演にはなかった復帰当日の場面などを加え、事故時に使用していたヘルメットの展示も行う。
 作品は40歳の復帰っ子同窓生が集う現代と復帰前後の場面が交互に登場する。米軍統治下の不条理を訴えて復帰前年のコザ騒動に参加し逮捕された経験を経た青年が復帰翌年、東京で生活する場面は復帰しても変わらない不条理や県外在住者の無関心が交差する。
 作・演出の真栄平は「復帰のシーンを入れないといけないと思っていた。初演ではできなかったのでリベンジしたい。なぜ今の沖縄があるのかを感じてほしい」と語る。
 復帰前に描いた理想と、復帰後も変わらない現実とのギャップに直面する青年の葛藤がにじむ同作。展示される当時のヘルメットは「(モチーフになった青年の)お兄さんも初演を見て快く貸してくれた。直に見て現実の重さを感じてほしい」と呼び掛けた。
 初演に続き、国会へ激突死した青年がモチーフの安隆役を務める平安信行は「細かい感情を見ることができるようになった。現代と過去の重なる所を感じてもらえるとうれしい」と意欲を見せた。
 出演は平安、新垣晋也、福永武史、宮里翼、平良直子、又吉裕子、幸地尚子、宮平明信、秋山ひとみ。入場料は前売りが大人2千円、小中高生1500円。当日は各500円増し。
 問い合わせは同劇団(電話)098(866)6118。

新たに加えた復帰当日の場面を稽古する出演者ら
復帰翌年に国会議事堂正門へ激突死した青年が使っていたヘルメット