“八百万サウンド”熱く タートルアイランド


社会
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洪水のようにとどろく打楽器の音に来場者を巻き込んだTURTLE ISLAND(タートルアイランド)=9日、沖縄市のミュージックタウン音市場

 轟音のるつぼで、神々と大騒ぎ―。ハードコア・オーケストラバンド「TURTLE ISLAND(タートルアイランド)」のイベント「南島ブラクラスタ」が9日、沖縄市のミュージックタウン音市場であった。バンドサウンドと民族楽器の音色を組み合わせたタートルアイランドは、伝統的な土着のサウンドと現代の前衛的な旋律が呼応する独特の音世界を演出。

名古屋のNICE VIEW、東京のEKD、沖縄のJACK THE NICHOLSONSらも出演し、ロックを媒介にした民族音楽のチャンプルーともいうべき舞台に来場者を招き入れた。
 タートルアイランドは1999年に愛知県豊田市で結成。ギターやベース、サクソホンなどの西洋楽器に和太鼓やしの笛、シタール、馬頭琴、ジェンベなど世界各地の楽器を組み合わせて17人で編成。日本のお囃子(はやし)やチンドンなども織り交ぜ、ロックやレゲエサウンドから民謡、民族音楽までを取り入れた「極東八百万(やおよろず)サウンド」を生み出し、海外公演なども重ねてファンを広げている。
 9日の公演は、鳴り響くドラムが会場を包むイントロダクション「進化」から「真ん中」へなだれて幕を開ける。フロントマンの永山愛樹(ボーカル)が韓国の伝統楽器テピョンソを吹き鳴らし、叫ぶように歌うと、フロアでクラウド・サーフィングが巻き起こり、熱気の渦を形作る。会場と声を響かせ合う「A HOpe」や「聖者と詐欺師」「サバイバー」なども次々と奏でる。
 「この世讃歌」は紙吹雪の舞う中、永山が三途(さんず)の川を踊りながら越えてきた陽気な死者のように〈死んだら死んだら死んだらどうなるの〉と歌う。歌詞に表れる突き抜けた死生観は、この世とあの世のあわいからわき出てきた八百万の神々をも巻き込んで大騒ぎするような祭り、ハレの舞台を描き出す。
 永山は「戦争で人を殺したお金でつくった幻想はいらない。年に1回、お祭りがあればいい」と叫び、フルメンバーでの再来沖をファンに誓う。アンコールの「エスカルゴ」「斑デ踊レ」で、南島を舞台にした祭りを締めくくった。(宮城隆尋)