安倍晋三首相が15日、環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加を正式に表明した。離島の基幹産業や医療、暮らしへの影響を懸念し反対を表明していた県内の関係団体からは「国益が守れなければ、脱退も辞さない態度で交渉を」「皆保険制度は守って」と強く求める声が上がった。
「参加表明はすべきではなかった」と話す城間俊安県町村会長(南風原町長)。「島しょ県であり、離島を抱える沖縄で、基幹産業のサトウキビへの影響は計り知れない。生活ができず、人が住めなくなれば、国土も守れなくなる。国益が守れないと判断した場合は、脱退も辞さない態度で交渉に臨むべきだと強く訴えたい」と要望した。
県医師会の玉城信光副会長は「国民皆保険制度がTPPの対象になれば、民間の保険会社にかける保険料で医療の内容が変わってしまう。医療を欧米型の自由競争にすると、医療の差別が生まれ、地域医療が崩壊する。医師会は皆保険制度を対象にすることには反対だ。日本の皆保険制度は世界的に評価されている。交渉に参加するにしても皆保険制度は聖域として守ってほしい」と求めた。
「暮らしそのものが大きく変えられるのでは」と危惧するのは県女性団体連絡協議会の伊志嶺雅子会長。添加物など日本と安全基準の違う食品が流通する可能性に触れ「食の安全の問題は大きい」と指摘。「農業が影響を受け、暮らしが成り立たなくなることや、皆保険制度が維持されるか心配だ」と話す。「メリット、デメリットが国民にきちんと提示されず、参加ありきで進めてきている」と政府の対応を批判した。