「植物工場」施設販売を本格化 インターナショナリー・ローカル


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 光や温度を制御して野菜を栽培する「植物工場」を運営するインターナショナリー・ローカル(糸満市、佐々木康人社長)は、4月から植物工場の施設販売を本格化する。工場運営の目的や規模に合わせたプランを顧客ごとに作成。施設販売後も、同社が蓄積してきた栽培や販売ノウハウを基に顧客をサポートする。

 取り扱う水耕栽培キットは、植物工場の研究開発や販売を手掛けるエスペックミック(愛知県)から仕入れる。キットを導入する施設には顧客のニーズに合わせた三つのプランがある。
 「商業用」は約12メートルの通常コンテナ2個と、取り外し可能な建築用コンテナ1個を活用。2個のコンテナ間に建築用コンテナで空間をつくり、野菜を栽培する棚を敷き詰める。両端のコンテナにはエアシャワーや保冷庫、液肥タンクなどを収納できる。
 佐々木社長はコンテナの活用で「自由な設計が可能」と話す。コンテナを横に並べていけば栽培面積を広げることができ、積み上げれば上に拡張できる。
 そのほか、家庭栽培用としても使える「個人研究用」は約6メートルのコンテナにキット一式を導入。既存の空間を活用する「リノベーション」は、栽培や運営に適した場所に改修した上で、植物工場を構築する。
 2010年に植物工場を稼働した同社は、現在県内外のスーパーやホテルに野菜を卸している。海外は香港にも出荷しており、年内にシンガポールにも出荷開始予定だ。これまでにアイスプラントやワサビ菜など60種類以上の野菜の栽培経験があり、12年は通年で黒字を達成した。
 植物工場はまだ電気代など生産コストが高く、価格も割高のため販路の確保が難しい。しかし同社の商品は引き合いが多く、生産が間に合わない状況だという。顧客が生産した野菜を買い取って販路に乗せることも考えているという。
 佐々木社長は「新事業を考えている企業や、農家の方に露地栽培と並行して運営してほしい。年間を通して野菜が栽培できれば所得も安定する」と話した。
 問い合わせは同社(電話)098(987)1770。
(長嶺真輝)