尾崎次郎さんに特別証書 琉大工学部在学中に病死


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息子の写真と特別証書を胸にほほ笑む母・尾崎恵美子さん(左)と父・拓也さん=21日、西原町の琉球大学

 琉球大学の卒業式が開かれた21日、全体の式典の後の同大工学部では、在学中の2012年3月に病死した尾崎次郎さん=当時25歳、奈良県出身=に、優秀な成績を収めていたことをたたえる特別証書が授与された。

今回の特別証書授与は「尾崎さんが琉大工学部に在籍した証しを残したい」との声が同級生や教員から上がり実現。尾崎さんの両親は、卒業生や教員、保護者が見守る中、息子に代わって特別証書を受け取った。
 尾崎さんは、防災の研究をしたいと、09年に同大工学部に入学した。指導教員の仲座栄三教授によると、成績はトップクラスだったという。尾崎さんの両親は「勉学に励み、世の中の役に立ちたい」との息子の遺志を引き継ぐため、12年5月に150万円を同大工学部に寄付した。
 このお金を基に、尾崎さんの同級生8人が宮城県と岩手県で被災地調査を実施。卒業研究に役立てた。母の恵美子さん(63)は「息子は勉学に励み、将来は県庁に就職すると言っていた。その思いを生かしたかった」と寄付した動機を語る。特別証書を受け取った父の拓也さん(61)は「学生と先生方の気持ちが詰まっている気がする」と話し、感慨深げに証書を見詰めていた。
 同大学は同日、寄付をした両親に対し、感謝状も授与した。
 指導教員の仲座教授は「素晴らしく優秀で、将来が楽しみな学生だった」と振り返る。試験前には同級生に勉強を教える友人思いな青年で、同級生に慕われていたという。

※注:尾崎さんの「崎」は、「大」が「立」の下の横棒なし