かなし糸縁 悲恋を永遠の愛へ 金城真次が初脚本・演出


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
あの世で縁を結ぶことができ、一緒に舞うかなし(儀間、右)と旅人(宮城)=23日、金武町立中央公民館

 若手実演家の金城真次(玉城流扇寿会教師)が初の脚本・演出・振り付けを担当した舞踊劇「かなし糸縁」が23日に金武町立中央公民館、24日に豊見城市立中央公民館で行われた。

県伝統芸能公演の企画公演。恋仲になった後に離れたまま他界する男女の悲恋物語を若手の立方、地謡が好演。結末では、女神の力によりあの世で結ばれるという永遠の愛へ昇華させた。
 村で美人と評判のかなし(儀間佳和子)は旅人(宮城茂雄)と偶然にも砂浜で出会って恋仲になり、また会うことを約束して別れる。しかし、いくら待っても旅人が姿を見せないことを嘆き、嵐の夜に砂浜で息を引き取る。一方、旅人もかなしの元へ向かう途中、嵐で船が崩れ、亡くなる。
 全3場のうち第1場でかなしやかなしの妹(奥平由依、浦崎愛梨)、村の男(西門悠雅、平敷勇也)らの畑仕事、遊ぶ様子など農村の雰囲気を描いた。第2場はかなしと旅人が出会い、恋に落ちる様子を琉球歌劇の要素も交えつつ、情感たっぷりに表現した。
 第3場は息を引き取るかなしと旅人が女神(知念亜希、伊良波さゆき)の力により、あの世で縁を結ぶ。シンプルで分かりやすい構成で観客を引き込んだ。
 地謡(歌三線=新垣俊道・喜納吏一、箏=木村有希、笛=入嵩西諭)も八重山民謡などを取り入れ、効果的に場面を表現した。
 パンフレットは「かせかけ」の綛(かせ)と枠(わく)、「花風」の花染め手巾(はなずみてぃーさじ)と日傘など舞踊劇に先立ち披露した琉舞で使う小道具も写真入り。小道具紹介と連動した解説で踊りの見どころも分かりやすく伝え、芸能へ興味を誘う工夫が感じられた。