八重山教科書 新学期前決着できず


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 本年度から竹富町内の中学校で使用する公民教科書をめぐり、諸見里明県教育長は4日、県教育庁で会見を開き、竹富町が東京書籍版を使用する見込みを述べた上で「竹富町教委の決定を尊重せざるを得ない」として町内中学校の新学期が始まる8日までの一本化を、事実上断念したことを明らかにした。

 一方、文部科学省は竹富町教委に対し、義家弘介文部科学省政務官の教科書一本化を求めた指導以降、どのような検討をしてきたか報告を求める文書を郵送した。県教委に対しても竹富町教委への指導を継続するよう求める文書を出しており、文科省から県、竹富町への一本化を求める圧力が強まった格好だ。文書はいずれも3日付。
 町教委への文書で(1)義家政務官の指導後に行った検討内容(2)教科書無償措置法違反の状態についての見解・違反解消の方策(3)八重山採択地区の需要数報告がないことへの見解・解消の方策-の報告を求めている。地方教育行政法上の「指導」として出した。
 慶田盛安三竹富町教育長は「2011年11月に、無償給付対象外の教科書使用は市町村が一義的責任を負うと閣議決定したのに、決定に反する指導をなぜ今やるのか」と不快感を示した。
 教科書問題に詳しい山口剛史琉球大准教授は「県教委が3市町の協議の場を設定し解決しようとしてきた流れを無視し、文科省は『竹富町が悪い』と言ってきている。指導というより政治的介入、どう喝だ」と指摘した。