消えた地蔵見つかる 白梅の塔


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白梅の塔周囲の雑木林から見つかった地蔵2体を見詰める白梅同窓会の中山きく会長(左)、武村豊副会長(中央)ら=10日、糸満市の白梅の塔

 地蔵2体や花瓶などが持ち去られていた糸満市の白梅の塔で10日午後、塔周辺の雑木林の中を捜索していた糸満署員が、この地蔵2体を発見した。同時に持ち去られたとみられる清掃道具、敷地内にある萬塊(ばんこん)之塔の花瓶なども見つけた。

 いずれも、雑木林に投げ捨てられた状態だった。発見を受け、被害届提出を見送った白梅同窓会の中山きく会長(84)は「わったー(私たち)が何をしたのか。こういうことは慎んでほしい」と複雑な胸の内を語った。
 10日午前9時ごろ、県平和祈念財団の清掃職員が敷地内の雑木林にうち捨てられた花瓶などを発見。同財団に通報し、午後2時半すぎに同窓会の中山会長と武村豊(とよ)副会長(84)が駆け付けた。清掃職員の大城明さんが林に分け入り、清掃道具や花瓶類を次々に発見。糸満署員も到着し一帯を捜索すると、午後3時すぎ、塔の裏で地蔵2体が見つかった。重さは1体約20キロ。大城さんは「無事に見つかって良かった」と喜んだ。署員による鑑識作業も行われ、心配そうに見守った武村副会長は、汚れた地蔵を布できれいに拭い「こんなことをした人の気持ちを考えるとショックだが、まずはたくさんの人の協力に感謝したい」と語った。
 地蔵は県外から慰霊のため寄贈された。同窓会員らが清明祭の参拝で訪れた7日、地蔵などの紛失が明らかになった。白梅の塔には、白梅学徒隊として沖縄戦に動員され、亡くなった県立第二高等女学校生徒や教職員が祭られている。