新卒看護師、早期離職防げ 現役が学生に助言


社会
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「ナーシング・キャリアカフェ」の取り組みに期待する(左から)金城芳秀教授、嘉手苅英子看護学部長、佐藤愛さん=11日、那覇市の県立看護大学

 新卒看護師の早期離職を防ごうと、看護系学科を設置する県立看護大学、名桜大学、琉球大学はこのほど、福岡県の5大学と連携し、新たな学生育成プログラムを開始した。文部科学省の「大学間連携共同教育推進事業」の一環。沖縄と福岡などの医療現場で働く看護師と学生が交流する「ナーシング・キャリアカフェ」を月1回ほど開催する。看護師の具体的な将来像が描けるよう学生を支援し、看護師の就業定着率向上を目指す。

 日本看護協会の調査によると、2011年度の県内新卒看護職員の離職率は6・4%。全国平均7・5%を下回るが、県立南部医療センター・こども医療センターの平良孝美副看護部長は「医療現場は人が足りない。離職者が多いと安定的に質の高い看護を提供できず、患者のためにならない」と指摘する。
 新卒看護師の離職の背景について県立看護大の嘉手苅英子看護学部長は「教育現場と医療現場のギャップがある」と指摘する。在学中の医療現場実習は一人の患者を看護するのが主流だが、就職後は複数の患者を担当し、多様な問題を瞬時に判断しなければならない状況に投げ込まれる。学生時代に想像していた医療現場との違いに戸惑い、離職する新卒看護師が少なくないという。
 このため教育現場からギャップを埋める取り組みを進めることになった。企画された「ナーシング・キャリアカフェ」では学生が将来の夢を語り、現役看護師が夢の実現に向けて助言する。こうした交流で具体的な職業像を描けるよう促す。
 沖縄では「第1回ナーシング・キャリアカフェ東崎」が3月17日に西原町で開かれ、専門看護師5人と学生が交流した。参加した県立看護大4年の佐藤愛さん(21)は「専門看護師になりたいという夢が明確になった」と笑顔を見せる。4月20日には同町で新卒看護師が集い、仕事の悩みや戸惑いなどを学生と話し合う。金城芳秀同大教授は「新卒看護師の生の声を今後の教育に反映したい」と意気込んでいる。問い合わせは同大(電話)098(833)8800。(仲宗根祐希)