「船路」「桑の実」作詞の宮里静湖 自筆歌詞とメモ発見


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
宮里静湖が原稿用紙に書いた「船路」の歌詞

 詩人で作詞家の宮里静湖(1907~85年)が作詞し、宮良長包が作曲した「船路」「桑の実」「荒磯の歌」の自筆歌詞と創作の背景を記した原稿がこのほど見つかった。宮良長包の研究を続ける大山伸子沖縄キリスト教短期大学教授が12日、原稿を保管していた宮里の娘・山里敬子さん(79)=久米島町=を訪ねて確認した。

 大山教授は「“長包メロディー”に関わる詞の背景が作詞者本人の言葉で残されていることは貴重だ。これまで分かっていなかった作詞時期や、長包が『荒磯の歌』を作曲するため久米島を訪ねて民謡を採譜した時期も記されており、ことし生誕130年を迎えた宮良長包の研究も進展する」と意義を語る。
 自筆原稿は、原稿用紙5枚に3曲の歌詞と創作の背景などを宮里が記述。「桑の実」の歌詞には「当時庭の隅にあった桑の木の、枝ごとの実がふくらみ熟れているその下で、子供たちと過ごした楽しいひと時が忘れられない」などと書き添えられている。
 「荒磯の歌」は64年版東京教育出版社発行「中学校音楽教科書三年用」に掲載されたという記述もあり、大山教授は「近年は沖縄が注目され『安里屋ユンタ』などが音楽教科書に掲載されているが、64年当時に長包作品が教科書に掲載された事実はこれまで分かっていなかった。東京で詳しく調査したい」と話した。