ベニバナ特産品に 南城で琉球野菜復活計画


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「ベニバナ」の栽培、商品開発に向けて収穫作業を行うトロピカルファームたまぐすくの大城浩明代表(右から2人目)と「琉球大学おきなわ食農研究会」のメンバー=13日、南城市玉城字堀川の農産物直売所「花野果村」の畑

 【南城】ベニバナをシマの特産品に―。農業生産法人トロピカルファームたまぐすく(大城浩明代表)は、「琉球大学おきなわ食農研究会」(仲宗根将(たもつ)部長)の協力を得て、「琉球野菜復活プロジェクト」として、ベニバナの栽培に取り組んでいる。

13日、南城市玉城字堀川の農産物直売所「花野果村」の畑で収穫作業が行われた。
 同プロジェクトは、琉球王国時代から現代まで栽培されている野菜を「琉球野菜」と名付け、生産から加工、販売までを行う特産品づくりを目指す。その第1弾として、同市玉城字奥武で昔から栽培されている「ベニバナ」に注目、栽培・商品化に取り組むことになった。
 「奥武島誌」によると、ベニバナは方言でハチマチバナと呼ばれ、戦前から同島で栽培され、花びらを乾燥させ保存、魚汁や肉汁などに入れて食べるほか、煎じてお茶として飲んでいる。血行を良くし、漢方薬として用いられ、婦人病の改善などに効果があるという。ベニバナの特産品化は20年前から声が上がっているが、収穫量など課題も多く実現していない。
 大城代表らは2011年12月から栽培を始めたが、最初は種が発芽しなかった。昨年、同島在住でベニバナを栽培している高齢者5人に栽培方法などを調査。11月に植え付けし発芽に成功。12月に定植し、毎月の草取りや肥培管理を経て、今回の収穫に至った。
 この日は約2キロを収穫。大城代表は「年2回栽培できるので、種を増やしていく。効能や栄養分析なども委託し、大学生のアイデアを生かし、地域と連携して商品化につなげたい」と話す。
 同研究会の仲宗根部長(22)=4年=は「奥武島だけの作物で6次産業化も期待できる。幅広い年齢層に受け入れられる商品開発を進め、農業の発展に貢献したい」と意欲を見せる。今後は同島で栽培されている「ハママーチ」「トーナチン」の栽培にも取り組む。