自己負担で検査断念も 性暴力被害者支援シンポ


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「ワンストップ支援センター」の設立を求めて、議論を深めたシンポジウム=20日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館

 レイプや性的虐待など、性暴力被害に遭った人を、医療や司法などあらゆる側面から支援する「ワンストップ支援センター」についてのシンポジウムが20日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館で開かれた。

テーマは「聴いて!被害者の声を!~県内の専門家と共に考える」(主催・「ワンストップ支援センター」設立を強く望む会)で、約130人が参加した。登壇した専門家からは「設立に向けてPTAや他の団体も巻き込み、県に対するさまざまなアプローチが必要」との声が上がった。
 精神科医の竹下小夜子さんは、先進的な取り組みをしている「性暴力救援センター・大阪」について説明。設置費850万円、年間運営費が1150万円だとし「県人事委員会によると、県職員1人の平均年収が550万円なので、2人分の人件費で維持できる」と指摘した。さらに「県の天下り先にならないように、役職者は置かず、その報酬もないことが前提だ」と強調した。
 産婦人科医の嘉陽真美さんは、県内病院におけるレイプ被害者への対応について、聞き取り結果を報告。未成年者が親に言わず来院した時の対応に苦慮しているケースもあるとし「検査や緊急避妊薬の処方で約4万円かかる。警察に届ければ医療費は公的費用で賄えるが、届けなければ自己負担になり、検査を断念する人もいる」と述べ、医療費補助の必要性を指摘した。
 10代の子どもたちのカウンセラー経験が豊富な松本昌治さんは「子どもたちが性被害に遭う前に、(加害者側の)大人の意識を変えてほしい」と訴えた。
 その他、精神科医の蟻塚亮二さん、臨床心理士の野村れいかさん、村上尚子弁護士、強姦救援センター沖縄の高里鈴代代表らが登壇した。