久米島のアリモドキゾウムシ根絶 発生地域から正式除外


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久米島でのアリモドキゾウムシ根絶による省令改正を発表する那覇植物防疫事務所の田中健治所長(左から2人目)ら=22日、県庁

 今年1月に久米島、奥武島(久米島町)、オーハ島でイモ類などの特殊病害虫・アリモドキゾウムシの根絶が確認されたことを受け、政府は22日、病害虫の移動規制などを定める植物防疫法で、同地域をアリモドキゾウムシの発生地域から除く省令改正を実施した。今回の省令改正を経て正式な「根絶宣言」に至り、地域農業振興の弾みとなりそうだ。

 県全域のほか、奄美諸島や小笠原諸島などを含めたアリモドキゾウムシの発生地域で、発生除外地域となったのは国内初。今回の改正で、これまで県条例で規制されてきたイモ・紅イモ(蒸熱未処理)やエンサイなど、同虫の寄主植物を久米島に持ち込むことは植物防疫法で規制される。
 同島では同じ特殊病害虫のイモゾウムシが発生しており、引き続き寄主植物の県外出荷は禁止される。
 久米島地域のアリモドキゾウムシについて、那覇植物防疫事務所が2012年12月に駆除確認調査を終了し今年1月に実質的な根絶を確認。国は3月に国や県、学識経験者などで構成する公聴会を開くなど省令改正の手続きを進めてきた。
 久米島町の平良朝幸町長は「長年の歳月をかけた根絶は各関係機関の努力の結果」と感謝。今後紅イモの需要が拡大し「久米島に大きな経済効果をもたらすことを期待する」と話した。
 県の大城健農業振興統括監は「念願の根絶。県も高品質の甘しょを安定供給できる拠点産地の形成に向け取り組んでいく」と引き続き支援する方針。同町の紅イモの生産量向上や、残るイモゾウムシの根絶が今後期待される。
 那覇植物防疫事務所(田中健治所長)は、アリモドキゾウムシの根絶周知も兼ね、22~26日まで移動規制植物や病害虫の広報を強化する。22日、県庁で会見した田中所長は「県や久米島の関係者に心から敬意を表する。今後も再発防止に向け協力をお願いしたい」と話した。
 県は今回の改正を受け、5月14日に同町で省令改正の説明会と地元の駆除協力者らへの感謝状贈呈式、同22日には那覇市内のホテルで講演会など「根絶記念行事」を開催する。