沖縄の「主権」確立を 「4・28」意味問い直す


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識者の討論を通して沖縄にとっての「主権」について議論を深めた「フォーラム4・28」=25日夕、那覇市泉崎の琉球新報ホール

 1952年のサンフランシスコ講和条約発効を記念し、政府が28日に開催する「主権回復の日」式典を前に、琉球新報社、沖縄テレビ放送、ラジオ沖縄の3社は25日夕、公開討論会「フォーラム4・28 沖縄から『主権』を問う」を、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開催した。

約620人が詰め掛け、5人のパネリストの討議を通して沖縄が日本から分離された「4・28」の意味や、沖縄や日本にとっての「主権」について理解を深めた。沖縄の独立論をめぐっても意見を交わした。
 翁長雄志那覇市長は式典に対する沖縄の反発に関し「寝た子を起こした。沖縄の問題は頭の片隅にもなかった」と安倍晋三首相を批判。式典を機に安倍政権が保守色をさらに強めようとすることに「憲法改正よりも日米地位協定改定が主権回復だ」と主張し、沖縄の「主権」確立へ、「オール沖縄」による異議申し立ての重要性を強調した。
 作家の佐藤優氏は「完全な主権回復と言うなら、なぜ今も北方領土返還を求めるのか、矛盾する。沖縄が切り離された日との認識もなく、考えずに決めた式典」と批判。昭和天皇が米側へ沖縄の長期占領を希望することを伝えた「天皇メッセージ」について「沖縄以外では天皇の話になると思考が停止する。受け止めは全然違う」と指摘した。
 近世史に詳しい西里喜行琉球大名誉教授は「普天間飛行場移設、TPP参加、原発再稼働、どれも米国の要求がちらつく。対米従属の現実を覆い隠す煙幕のようだ」と式典を批判した。
 県出身の勝方=稲福恵子早稲田大教授も同じく式典を批判した上で「知事欠席は正しいが副知事出席は県民の気持ちを踏みにじる。何らかの意思表示をしてほしい」と県側に求めた。
 琉球独立論を唱える松島泰勝龍谷大教授は「島しょ防衛による軍事化で、琉球は誤った国家戦略の犠牲になる危険性がある。基地問題の根本的な解決には、完全独立がもっとも有効だ」と訴えた。
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 フォーラムの模様は沖縄テレビが26日午後4時50分~5時54分までの「スーパーニュース」枠内、ラジオ沖縄が28日午後7~9時の特別番組で放送する。

英文へ→Panelists discuss celebration of restoration of Japan’s sovereignty