国内初の検査キット 初期HIV測定の抗体生産技術確立


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 感染症の研究や診断に使う抗体の開発・製造販売を手掛ける琉球免疫研究所(うるま市、長谷川宗近社長)は、感染の初期段階でエイズウイルス(HIV)を測定できる抗体の生産技術を確立し、この抗体を活用した研究用の検査キットや体外診断用検査キットの開発に成功した。

国内で同種の検査キットが製造されるのは初めて。同研究所は沖縄発の技術として販路開拓に力を入れている。
 沖縄振興開発金融公庫は25日、同研究所に1500万円を出資。沖縄公庫の担当者は「感染拡大防止が期待でき、ワクチン開発などの研究の加速化が図れる」と評価した。機器購入資金などとして活用することで事業の進展を見込む。
 同研究所によると、国内のHIV検査はウイルスが持つ抗原に反応して作られる抗体の存在を調べ感染の有無を判断する「抗体検査」が一般的だが、抗体が検出されるのは感染から6~8週間後で、その前の検査では陰性になる可能性があり、感染初期は発見できない場合があるという。
 これに対し、同研究所は琉球大学との共同研究でHIVの抗原を特定できる抗体を独自に精製することに成功し、初期段階でも感染を測定できる技術を確立した。抗体を試薬の原材料として販売するとともに、抗体を活用しHIVの抗原を短時間で検出できる研究用のキットを開発。県外企業と提携し受注販売を手掛け、HIVの創薬や研究を手掛ける企業などに売り込んでいる。
 簡易的に抗原と抗体両方の有無を調べる一般の体外診断用検査キットも開発。技術を提供し製造・販売は提携企業に委託する計画で現在商談を進めている。
 同研究所はHIVに関する抗体のほかにも有用な抗体を開発しており、抗体の量産や販路拡大に取り組む。売上高は2015年1月期で2億1500万円を見込む。長谷川社長は「今後さらに技術を磨いて、海外のマーケットに流通させたい。県産の技術を世界に広げていきたい」と意気込みを語った。

英文へ→Ryukyu Immunology Corporation develops test kits to detect HIV infection

研究用HIV抗原定量検査キット
長谷川宗近社長