那覇市が進める奥武山公園陸上競技場のサッカー専用スタジアム建て替え計画について、沖縄陸上競技協会の國場馨会長ら役員4人は25日、市役所に久場健護総務部長らを訪ね、再考を求める要請書を提出した。
國場会長は「陸上との兼用施設を造ってほしい」と求めた。
奥武山公園は現在、沖縄セルラースタジアム那覇を除いて県が管理するが、2017年までに市に移管することで基本合意している。専用サッカー場構想は、翁長雄志市長が今年2月の市議会定例会答弁で表明。2万人収容を想定し、Jリーグ1部(J1)の公式戦ができるスタジアムとして19年度の供用開始を目指す。市によると、試合のほか、J1チームのキャンプ誘致や、イベントなどの活用を考えているという。
同協会はこれまで、九州大会レベルの競技会ができる陸上競技兼サッカー場としての整備を求めてきた。要請書では、同競技場が、若夏国体など戦後の沖縄陸上界に重要な役割を果たしてきたことを強調。現在も一般市民や市内の小中高生に、身近な練習場や校内陸上大会の会場として利用されていることなどを挙げ、「広く市民が利用できる競技場として整備を」と計画の再考を求めた。
さらに、沖縄を拠点とするJ1やJ2チームがないことから「性急に専用スタジアムを建設する必然性があるのか」と疑問も呈した。要請書を受け取った久場総務部長は「協会の陸上競技や子どもたちへの思いはよく分かった」と述べ、同協会が提案する本土企業の陸上チームの合宿誘致など「経済的効果も踏まえ、要望を市長に伝える」とした。
面談後、國場会長は「歴史を作ってきた地から競技場がなくなるのは、競技振興に取り組む立場として看過できない」と強調。市内に陸上競技場がなくなる対策として市は、翁長市長と南風原町の城間俊安町長が競技場の相互利用を合意するなど近隣市町との広域連携を模索しているが、國場会長は「県都那覇市に(日本陸上競技連盟)公認の陸上競技場があることが陸上競技やスポーツの振興につながる」と訴えた。