思い出の校舎前で運動会 大名小1―28期生300人


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真剣な表情で綱引き競技に参加する卒業生=28日、那覇市立大名小学校

 本年度中に現校舎が建て替えで取り壊される那覇市立大名小学校(佐々木りん子校長)で28日、卒業生が一堂に会した運動会が同校運動場で開催された。学び親しんだ思い出の詰まる校舎が消える前に「かつて学んだ校舎をしのび、新たな歴史を卒業生として歓迎したい」との思いから卒業生が企画提案した。

趣旨に賛同した第1期から28期までの約300人が参加し、ムカデ競争やパン食い競争、綱引きなどの競技に汗を流した。久しぶりに再会した友人や恩師、地域住民と思い出話に花を咲かせ、楽しく交流を深めた。
 同小は1977年に創立された。佐々木校長によると、現校舎は老朽化しているため、本年度中の建て替え工事が必要だという。校舎取り壊しを知った卒業生からは「思い出の詰まった校舎の建て替え前に何かしたい」との声が広がっていた。
 このため9期生の屋宜貢さん(39)=那覇市=が卒業生の運動会開催を思いつき、周囲に声を掛けて今年の1月から準備に取り組んできた。
 1月に卒業生から運動会開催を提案された佐々木校長は「卒業生が運動会をするという話は聞いたことがないので驚いた。地域と学校が密着している地域だからこそだ」と話すが、開催は難しいと思っていたという。
 実行委員会に参加した卒業生はそれぞれ仕事や家庭を持っており、取り組む時間が限られ、準備を前に進めるのも簡単ではなかった。屋宜さんは「連絡を取るのに苦労した。それぞれの学年にまとめ役を見つけるのも大変だった」と振り返る。
 それでも地域の協力などを得て、世代を超えた多くの卒業生が一丸となって開催を実現した。佐々木校長は「学校の誇りだ」と目を細めた。綱引き競技に参加した2期生の高江洲融さん(46)=那覇市=は「懐かしい顔がたくさんいる。綱引きも楽しかった。少し疲れたけどね」と笑う。開催を実現した屋宜さんは笑顔で参加する卒業生の姿を見て「感動している。これからが地域活性化の始まりだ」と話し、今回のつながりを地域に還元できればと思っている。