2人のジゼル巧みに 高良幸子バレエ団


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「ジゼル」第2幕でアルブレヒト(左、中家正博)を救うようミルタ(右、松川夏子)に乞うジゼル(下地麻衣子)=28日、那覇市民会館

 高良幸子バレエ団・研究所の第37回発表会が28日、那覇市民会館であった。古典の名作「ジゼル」は、ジゼル役の下地麻衣子が死を境にした2人のジゼルを巧みに演じ分け、裏切った相手をも許す愛の深さを美しい舞で表現した。

 「ジゼル」は踊りが好きだが心臓が弱い村娘ジゼルに貴族の男アルブレヒト(中家正博)が身分を偽って近づく。ジゼルを慕う村の青年ヒラリオン(真栄城賢)がアルブレヒトの身分を暴くと、裏切られたことを知ったジゼルは錯乱し、絶命する。墓場で妖精ウィリたちに命を奪われようとしていたアルブレヒトを、亡霊となったジゼルが救う。
 下地は第1幕の明るく踊るジゼルと、第2幕で後ずさりしながらの跳躍など映像を逆回しにしたような不気味な美しさをたたえた死後のジゼルを演じ分ける。錯乱する場面も、見えない相手とパ・ド・ドゥを踊る動きなど迫真の舞を繰り広げた。第2部冒頭のミルタ(松川夏子)やウィリたちの群舞も息を合わせ、妖しい魅力を放った。
 昨年の第3回琉球新報国際バレエコンクールで創作団体2位の「AnA+」による「Cuidado(!)」なども演じた。