非行と向き合う親の会結成へ 那覇市の井形さんら


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「『非行』と向き合う親たちの会おきなわ」準備会のメンバーと、学習会の準備をする井形陽子さん(中央)=1日、なは女性センター

 息子の非行で悩んだ経験のある井形陽子さん(45)=那覇市=が中心となり、親たち5人が4日までに「『非行』と向き合う親たちの会おきなわ」設立に向けて準備会を発足させた。東京都にある「『非行』と向き合う親たちの会」(通称・あめあがりの会)によると、全国に同様の会は34カ所あるが、沖縄での設立は初めて。

 井形さんは「子どものために何ができるかを学べる場所をつくりたい」との強い思いを語った。6月15日の設立を目指す。
 井形さんが「素直で優しい息子」の様子がおかしいと感じたのは、中学3年の秋。帰宅時間が徐々に遅くなり、深夜徘徊(はいかい)が始まった。誰にも相談できずにいたが、夫(後に離婚)に相談した。しかし、返事は「任せるよ」。突き放されたように感じた。
 高校入学後、息子の問題行動は悪化した。「夜は家にいてほしいから、泣いたりわめいたり…。携帯を取り上げたら家出されて、逆効果だった」と当時を振り返る。学校に何度も呼び出され、校長に「(これほど多く問題を起こすのは)前代未聞だ」と言われ、親として負い目を感じた。それでも「世間体や恥ずかしさ、何より人さまに話していいものか」と悩み、家族以外には相談できなかったという。
 初めて相談したのは、息子の非行に悩み始めて1年後。神戸に足を運び、教育問題に詳しい専門家に、5時間話し続けた。「はき出せば冷静になれる。人に話す大切さが身に染みた」。以後、県外で開催される子どもの非行に悩む親たちの集まりに参加するようになり、沖縄にもそのような場が必要だとの思いを強めていった。
 今は、相談できる親たちの仲間と共に学びながら息子に向き合う日々を送っている。学んだ経験が生き、息子の話を落ち着いて聞けるようになった。息子も落ち着きを取り戻し、関係が修復できたという。
 「『非行』と向き合う親たちの会おきなわ」の設立を予定している6月15日には、午後1時から、なは女性センターで非行と向き合うための学習会を開く予定だ。参加費は500円。井形さんは「子どもに関わる多くの人に参加してほしい」と呼び掛けている。問い合わせは(電話)070(5403)1930(井形)。(仲宗根祐希)