台湾が緩衝域提案 日台漁業協定


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日台漁業協議“合意水域”

 日台漁業協定に基づき、操業の具体的な取り決めを協議する日台漁業委員会(7日、台北市)に先立ち1、2の両日東京であった事前協議で、台湾側が合意水域周辺に取り締まりを譲歩する「バッファーゾーン(緩衝水域)」の設置を議題に提案していたことが5日、分かった。

日本側は合意水域について「それより外は厳格に取り締まる」と拒否したが、台湾側は「予備会合では議論しないが、今後も提案していく」と譲らなかった。県内漁業関係者は同委員会で再提案するとみている。
 台湾側が緩衝水域を求める背景には、マグロ漁などに用いるはえ縄が潮の流れによって合意水域をはみ出る可能性があり、回収作業などが必要になるためだという。
 台湾側は加えて、合意水域に含まれていない先島諸島南側と、日本領海の尖閣諸島周辺12カイリ、北緯27度以北の水域での操業を議題に上げるよう提案。日本と台湾の漁業者による民間交流についても提案があった。
 先島諸島南側について日本側は事前協議で「沖縄が怒っている中、この話は火に油を注ぐようなもの」と反論。尖閣諸島周辺12カイリと北緯27度以北の水域は、今回の日台漁業協定の対象外とし、民間交流は「沖縄の漁業者は怒っており、交流を行う環境にない。時期尚早」と回答した。
 緩衝水域の設置など台湾側の提案について県漁業協同組合連合会の国吉真孝会長は「冗談じゃない。協定で台湾が主張する暫定執法線を譲ったから、弱みがあると思われている。日本政府には協定の見直しを主張してほしい」と強く批判した。