連載「国依存の誤解を解く」〈2〉依存財源は全国18位


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全国と沖縄の歳入構造

 県の歳出全体に人件費や扶助費などの義務的経費が占める割合は45・9%(全国26位)で、全国平均43・2%、財政力指数0・3未満の類似9県平均41・6%を上回る。人件費割合(12位)が高いのは島嶼(とうしょ)県で小規模校が多く、教職員数が相対的に多いためだ。ただ国家公務員を100とした場合の給与水準を示すラスパイレス指数は全国平均を下回っている。

 公共施設整備に充てる普通建設事業費の割合が全国や類似県を上回る半面、借金返済費に当たる公債費の比率(43位)が低いのは沖縄振興特別措置法に基づく高率補助などによるところが大きい。全国や類似県に比べて義務的経費の構成比が高く、歳出構造の硬直化に注意を要する。
 人口1人当たりで歳出金額を見ると、沖縄は義務的経費(24位)、公共事業などの投資的経費(19位)ともに全国より多いが、類似県より少ない。沖縄は全国平均よりは高コストだが、類似県よりも低コストでさまざまな公共サービスが実施されているのである。
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 都道府県の歳入科目は、自主財源と依存財源に分類できる。自主財源は自らの権能で収納する収入で、地方税や分担金・負担金、使用料、手数料、財産収入などである。依存財源は国から交付されたり、割り当てられたりする財源で、地方交付税、地方譲与税、地方特例交付金、国庫支出金、交通安全対策特別交付金および地方債で構成される。これらのうち、地方税、地方交付税、国庫支出金、地方債の4科目で都道府県歳入の約8割を占めている。
 なお都道府県が任意に支出できる一般財源は地方税、地方交付税、地方譲与税、地方特例交付金で、それ以外は使途が特定された財源だ。地方税の歳入構成比は高く、地方交付税や国庫支出金、地方債は低い方が望ましい。自主財源比率が高いほど、財政力は強い。
 沖縄県の歳入構造は地方税15・6%、地方交付税33・0%、国庫支出金25・5%、地方債9・6%。自主財源割合は29・0%で、類似県32・6%、全国49・4%を下回り、47都道府県中43位である。自主財源の根幹をなす地方税は類似県が13・2%、全国30・2%で、沖縄は47都道府県中38位。ちなみに全国水準を超えるのは東京や愛知、大阪などの11団体で、主として3大都市圏の都府県だ。
 沖縄は地方税など自主財源に乏しく、地方交付税、国庫支出金などの依存財源比率が高いが、全国で突出した依存構造ではない。似たような歳入構造を有する自治体がかなり存在する。
 経済水準や人口構造を反映し、人口1人当たりの沖縄の地方税や自主財源は全国や類似県に及ばないが、依存財源は31・5万円(18位)で、類似県の41・2万円を下回っており、国依存の度合いは類似県に比べてかなり低い。全国平均の依存財源20・8万円以上は31団体で、47都道府県の3分の2に達している。