連載「国依存の誤解を解く」〈3〉交付税は類似県最少


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 国の補助金の根幹は地方交付税(普通、特別の2種)と国庫支出金で、国と地方の財政関係の中核をなす。沖縄県の財政力指数や普通交付税の歳入構成比は、財政力指数0・3未満の類似9県中5位だが、人口1人当たり普通交付税は最も少ない。沖縄の標準的行財政は人口1人当たりでみる限り、類似県に比べて低コストで行われている。

 国庫支出金は、財政力格差の是正や財源保障を図る地方交付税とは異なり、使途が特定された補助金だ。主な役割は(1)一定の行政サービス水準の確保(2)行政区域を越えて便益が拡散する公共サービスの最適供給水準の確保(3)特定事業の奨励―などである。批判もあるが、その存在理由はなくならないであろう。沖縄は特に(3)の比率が高い。
 国庫支出金は国庫負担金、国庫委託金、国庫補助金などに分類できる。負担金は(1)と(2)が目的、委託金は国の利害に関係する事務で補助金は国が政策遂行上の必要があると認めた時などに支出する。沖縄振興特別措置法に基づく高率補助は国庫負担金および国庫補助金に関するものである。
 国庫支出金には国家的見地に基づく政策目的が含まれており、沖縄に対する近年の上乗せは主に防衛政策の観点からと言えるだろう。国庫支出金は財政力格差の調整を目的としないが、税収が少なく、行政コストが高くつく地方圏に傾斜的に配分されている。
 沖縄県歳入に占める国庫支出金割合は25・5%、類似県では岩手の次に高く、人口1人当たりでは岩手、島根に次いで高い。沖縄は沖振法に基づき国庫支出金が嵩(かさ)上げして配分されるため、高くなる傾向にある。
 一方、沖縄県の財政需要は国庫支出金で充足される部分があるため、財政力指数が多少高めになる傾向にある。また公共事業に高率補助が適用されるため、地方債の発行も低水準に止まり、公債費の歳出構成比は全国および類似県と比較して低い値となっている。
 なお2012年度から沖縄振興一括交付金制度が導入されたことにより、12年度、13年度当初予算における国庫支出金の歳入構成比はそれぞれ32・1%、32・8%に急上昇している。軍事基地が存在しないと仮定すると、沖縄県歳入は国庫支出金の比率が低下し、地方交付税と地方債の比率が高くなると思われる。
(池宮城秀正氏、明治大教授)

類似県の財政力指数と普通交付税
類似県の国庫支出金