環太平洋連携協定(TPP)を考える「沖縄対話集会」が27日、南風原町中央公民会で開催された。ニュージーランドのオークランド大学で国際的経済規制などを専門に研究するジェーン・ケルシー教授が「TPPが地域経済に及ぼす悪影響」と題し講演。
次回7月にマレーシアで開催予定の拡大交渉会合について、「日本が交渉入りする前になるべく多くの事柄で合意しようという話もある」と警鐘を鳴らした。
TPP参加に反対する有識者らでつくる「TPPを考える国民会議」(代表・原中勝征日本医師会前会長)、県第一次産業労連、フード連合沖縄地区協議会が主催した。農業団体関係者など200人余が参加した。
ケルシー氏は拡大交渉会合で、日本が最後の3日間だけ参加が予定されていることについて「日本は最初に話された文書を見ることができない。仮に前半の内容で賛成できなくでも、無条件で合意することになる」と指摘。その上で、「交渉人の間で、非公式に会談を持ち、日本が入る前になるべく多くの事柄で合意しようという話もある」と述べた。
さらにTPP交渉は、終了後4年間は交渉内容を公開しないことが許可されていることについて「政府が国民の名の下にどのような見解を述べたか分からない。これでは民主主義を脅かす」と批判した。
一方、「TPPは米国政府や大企業の意向が反映される」とし、TPPは米国がアジア太平洋地域で指導力を確立するために掲げる戦略の一つの「経済的側面」であると指摘。さらに「米軍の軍事力」を例に、「沖縄は非常に特殊な立場にある。米国の戦略の両方の影響を受ける」と述べた。
ケルシー氏は著書「異常な契約~TPPの仮面を剥ぐ」を出版しており、米国主導の体制や秘密裏に進められる交渉を批判している。