円安で県内畜産危機 飼料高騰 農家負担、史上最高に


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配合飼料価格の農家実質負担額(1トン当たり)

 海外から輸入するトウモロコシなど原料穀物価格の高止まりや、円安の進行により畜産用配合飼料価格が高騰し、県内畜産農家の経営が危機的状況に陥っている。4~6月期の1トン当たりの実質農家負担額は史上最高を記録し、今月中に発表される7~9月期はさらに高騰する見込み。JA沖縄中央会(小那覇安優会長)は今月中にも県に対し、9月補正予算で農家への支援を要請する方針だ。

 JA沖縄中央会によると、配合飼料価格は家畜生産コストの6割超を占める。2006年10~12月期の1トン当たりの農家負担額は4万2700円だったが、トウモロコシなどのバイオ燃料への転嫁や中国での需要増により、上昇を続け、08年10~12月期には当時過去最高となる5万9950円を記録した。
 その後、5万円超で高止まりし、12年度は米国産トウモロコシが干ばつの影響で再び高騰。そこに安倍政権の経済政策「アベノミクス」による円安の影響が加わり、13年4~6月期は6万650円に達した。全国農業協同組合中央会(JA全中)は7~9月期はさらに約2200円値上がりすると見込んでいる。これらを受けJA全中など関係6団体は6日、農家負担を補填(ほてん)する配合飼料価格安定制度の財源不足が7月以降深刻だとし、農林水産省の江藤拓副大臣と自民党畜産・酪農対策小委員会に対し財源確保を緊急要請した。
 さらにJA沖縄中央会によると、亜熱帯地域の沖縄は県外に比べ家畜の飼料消費量が多い上、離島県で輸送コストも割高になる。1トン当たりの価格が県外より1万円ほど高くなることもあると試算している。
 小那覇会長は「畜産は沖縄特有の問題があるが、改善されていない。一括交付金も活用し、生産から育種までの体制を整備していく必要がある」と指摘した。
 同会は県に対し、県内飼料メーカーへの生産支援など、資金面での補助を9月補正予算で措置することを求める。割高な輸送コストを軽減するため、海外からの直航チャーター船や原料備蓄施設の建設を要望することも検討している。
 県畜産課も「1円円安になれば、県内では1トン当たり300円近く農家負担額が増える。飼料対策の要望も多い」と危機感を強めている。(長嶺真輝)