枯れ葉剤汚染 県内取材 ジャーナリスト・中村梧郎さん


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「沖縄での枯れ葉剤汚染は今こそ明らかにされなければならない」と語る中村梧郎さん=10日、那覇市民ギャラリー

 ベトナム戦争で米軍がまいた枯れ葉剤による人体・環境被害を取材しているジャーナリストの中村梧郎さん(72)の写真展「枯れ葉剤と子どもたち」が、11日からパレットくもじ6階の那覇市民ギャラリーで始まる。

中村さんは22日までの沖縄滞在中、県内米軍基地の枯れ葉剤汚染の実態についても取材を進める。「あらゆる兵器や物資が沖縄を経由してベトナムに送られた。米国が言うような文書がないからという理屈では、沖縄に枯れ葉剤がなかった証明にはならない」と語り、県民に情報提供を呼び掛けている。
 中村さんは二重体児のベトちゃん、ドクちゃんを世界に訴えた写真家。先天異常やがん患者が今も続くベトナムの現状を通じて、ダイオキシンを含む枯れ葉剤の使用がいかに深刻な戦争犯罪かを告発してきた。
 近年は沖縄で枯れ葉剤を浴びたことによる後遺症を訴える退役米軍人の証言が相次ぐ。しかし米国防総省は3月に公表した報告書で、沖縄に枯れ葉剤が搬入された記録がなく、県内の米軍基地で貯蔵されていたという証拠は発見できなかったとして退役軍人らの証言を否定した。
 中村さんは「韓国では2011年、枯れ葉剤入りドラム缶を基地内に埋めたという証言から、韓米合同の調査団が組織された。これと対照的な日米政府の沖縄に対する姿勢は、沖縄の住民の安全を平然と無視する態度だ」と批判した。
 写真展は16日まで、入場無料。21日午後7時からは中村さんの講演会がパレット市民劇場である。入場料は999円。情報提供や問い合わせは講演会実行委員会(電話)098(885)4918。