【沖縄】沖縄市諸見里にある市サッカー場の工事現場からドラム缶十数本が見つかった問題で、ドラム缶に世界最大規模の総合化学品メーカーの「ダウ・ケミカル社」(THE DOW CHEMICAL COMPANY)の社名が記載されていることが17日までに分かった。
同社は、ベトナム戦争当時に米軍が散布したダイオキシンを含む枯れ葉剤を供給した、枯れ葉剤製造最大手企業であることから、今回、見つかったドラム缶は、枯れ葉剤が県内で貯蔵されていたことを示すものである可能性が出てきた。
サッカー場を管理する沖縄市教育委員会は17日、記者団に対し、独自にドラム缶の内容物や現場周辺の土壌を調査する考えを示した。この日の午前には、沖縄市議会の議員らが現場を視察したほか、沖縄防衛局の返還対策課の職員は同日午後、市教委を訪ねて現状や今後の対応について意見交換した。
ドラム缶が見つかった地域は1987年8月に返還された米空軍嘉手納基地の一区画で、ドラム缶は米軍の遺棄物の可能性が高い。沖縄防衛局は、ドラム缶の使用の有無や返還前の用途について、米軍側に照会しているが、17日夜までに回答はない。
ドラム缶に内容物は見当たらないが、石油系燃料の異臭を放っている。ベトナム戦争で使われた枯れ葉剤は、散布しやすくするため、液体のディーゼルなどの燃料と混ぜて使用されていた事実がある。
17日現在、土中から引き上げたドラム缶はブルーシートで覆われ、工事現場の一角で保管。現場は立ち入りが禁止されている。
<用語>枯れ葉剤
毒性を持つダイオキシンを高濃度で含んだ除草剤の一種。ベトナム戦争中の1961年から、米軍が南ベトナム解放民族戦線の拠点である密林の枯死などを目的に、空中から大量に散布した。ダイオキシンは自然環境下で分解されにくく、動物実験では奇形を生じさせる性質が確認されている。散布された地域では、がんや出産異常などの増加傾向が見られ、人体への有害性が指摘されている。