透析生活を支援 IT活用 新システム開発へ


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透析支援サービスイメージ

 システム開発のさうすウェーブ(宜野湾市、前田憲社長)は人工透析患者向けに情報技術(IT)で透析生活を支援するシステムやサービスの開発に取り組んでいる。検査結果や患者会情報をデータ化し、タブレット端末で患者が医療情報を確認できるシステムに加え、透析中に楽しめる映画や動画などのインターネットコンテンツを提供する。

1年目に5病院、2年目に10病院へ導入を図る計画。沖縄発のサービスとして将来的に全国展開を目指す。
 同社によると、人工透析治療は週3回通院し、各4~5時間の治療が一般的で患者は長時間拘束される。透析治療は精神的にも負担が大きいため、同社はITサービスで治療の質の向上を図る。
 病院を事業の提携先として商品化。病院が透析患者向けサービスとして提供する仕組み。システムはインターネット経由で情報を処理するクラウドコンピューティング技術を活用し情報量や経費など病院側の負担抑制を図る。9月中にシステムを開発し年明けのサービス開始を目指す。売上高目標は2年目で770万円。
 サービス開始後は当面、血液やレントゲンなど基本的な検査経過をデータ化し情報提供するが、医療関連情報は順次、薬や診察、食事、病院情報など拡充し、インターネットコンテンツもニュースや電子書籍、交流サイト(SNS)など充実化を図る。
 日本透析医学会によると、全国の透析患者は年々増加。2011年末で30万人余で、県内は4208人に上る。
 前田社長も腎臓病で6年前から透析治療を開始。自身の体験からサービスの必要性を実感した。年々増加する患者の状況から需要増加を見込む。前田社長は「開発に当たり関係者から協力、助言を多くいただいた。必ず事業化させ、治療を有意義に、患者が生き方を変える日本初のサービスとして取り組みたい」と話した。(謝花史哲)